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夜更けには別の顔 22

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前回までの話がデキない、ヤれない男、道明寺専務からの報告でした。
ここからは西田が担当させていただきたいと思います。



専務が雪之丞の店から牧野さんを連れ去った翌日。
私、西田が邸の司様の私室へお迎えに行きました。

司様の私室で、私は世にも不思議なものを目にしたのです。
ベッドとソファーを行ったり来たりしている坊ちゃんを。
ベッドで寝ている牧野さんを眺めてはソファーに戻るを繰り返しているのです。

この早さ、まるでこの季節になると出てくる----。
夜に電気をつけると一瞬にして動き出すあの生き物のようでした。

「司様。」
私の声にかなりビクってなされた司様は

「うごぉっ」
ゴリラっぽい返事で、かなり動揺されているように感じました。




どうやらこの日は、牧野さんを寝室に連れ込んだまでは良かったのですが、
お付き合いもしてない女性!しかも、部下!!
同じベッドで寝るという事にかなり魅力があったようですが、坊ちゃんはソファーで寝ることにしたようなんですね。

弊社、社員への徹底したハラスメント教育の効果がここに表れております。
ですが、やはり。坊ちゃんも男ということで。
意中の女性が同じ部屋で寝ているのに、なかなか寝付けなかったようです。
というより、寝ることが全くできなかったんですね。

何度も、ベッドに牧野さんの寝顔を見に行ったり
ベッドから落ちないかを気にしていらっしゃったようです。





お蔭で、坊ちゃんは完全なる寝不足。
こんなに仕事が滞るのなら、牧野さんには坊ちゃんの生贄になってもらった方が道明寺ホールディングスの為だったかもしれません。

反対に牧野さんは、専務のベッドで爆睡されたようで珍しく始業ギリギリで出社してきました。
でも、十分な睡眠が良かったのか?
もともと、あまり考えない性格なのか?
私が雪之丞であることも、専務に告白された(坊ちゃん情報)ことも全く気にしてない様子でした。




こうなると・・・。
やはり気になるというか。
気の毒に思うんですよね、専務が----。

私が執務しから出ようとしたとき、入れ違いに入ってきた牧野さん。
専務はこのタイミングを待ち望んでいたと思うんです。

「牧野、昨日の------だな。」
「はいっ!昨日に頼まれた書類ですよね。用意してます。直ぐにお持ちしますね。」
専務に笑顔で対応する牧野さん。

私ですら思います。
牧野さんに、何考えてるんですか、と。

司様の今の表情をきちんと見られましたか?
鈍感すぎるのもいい加減にして頂きたい。

今日の坊ちゃんの仕事がはかどらないんです!!!
私の仕事が終わらないんです!

私の夜更けの楽しみの時間が無くなってしまうんですっ!!
やはり、生贄になってもらわないといけないですね。




その次のチャンスを狙っていた坊ちゃん。
同じように、私と入れ違いで執務室にコーヒーを運んできた牧野さん。
私はドアを完全に閉めないで、中を伺っておりました。

「牧野。昨日、俺が言ったこと覚えているな?」
坊ちゃん、頑張りました!

「あっ、ハイ。」
いつもより緊張気味の牧野さんの声!

牧野さん、やっと気が付いてくれたんですね。
なんとか(坊ちゃんの、いや私の仕事の為に)いい返事をしてあげてください。
私は心の中で願いました。

「今夜ですか?」
牧野さんの困った声。
何が今夜なのですか?


まさか、私たちチーム坊ちゃんで把握してない事実があるんですか?
この坊ちゃんが牧野さんを食事に誘っていたんですか??
珍事です!
チーム坊ちゃんに連絡しないといけません。
リーダー(もちろんタマさんです。)に叱られてしまいます。


牧野さんが、執務室と秘書室の間にあるドア付近の私の方を見て
「西田さん、専務のお仕事は今日はかなり----立て込まれていますよね?」
こう、確認するかのように聞いてきたんです。

この辺りは、牧野さんは女性としてすごく気が付くんです。
遅いだとか、進んでいないなどは専務に対して失礼だと十分に配慮して下さっているんですよね。

でも、私は言いたい。
牧野さん。
専務の仕事が進んでいない元凶のあなたがそんなことを言ってくるのですか?と心の中で思った時です。

「また、お弁当を頼んだほうが良いですよね?一昨日とは違うお店でお願いしておきましょうか?」
まさか、今夜ですかというのは専務の晩ご飯のことだったのですか?

こう思った後、直ぐに私にとって絶好のチャンスが巡ってきたのです。
(おそらく出ているであろう、坊ちゃんの青筋を消すことに専念したいんです。)

「料亭やホテルのお弁当って美味しいんですけど、仕事があるって思うからかなぁ。美味しさが半減してるような気がして勿体ないですよね。やっぱり、お仕事が終わって、ゆっくり食べるほうが美味しいですよね。」
へへって笑いながら言ってきた牧野さんに、生贄になって頂くことを決めたのです。
(坊ちゃんの青筋を少しでも早く消すのが大事です。)

「確かに、そうですね。では、私の方で予約しておきますので、専務と牧野さんは18時にお二人で食事に行ってください。」
私の提案に牧野さんの声にならない『へっ?』ってした顔。

対照的に、司様の『おっ!』とした顔は、私の坊ちゃんの成長アルバム~初恋編~のなかでも上位にランクインしました。
このアルバム、さっさと~恋人編~になればいいのですけどね。

「牧野さんが言うように専務の本日の仕事はかなり立て込んでいます。ただ、専務は気になることがおありなようで、全くお仕事がはかどりません。気分転換に時間になればお食事に行かれて専務のお話でも聞いてみてあげてくだい。」
牧野さん、専務の気になることはあなたの返事です。

わかりましたね。こう目力で伝えた。
どうか、仕事がはかどる方へ返事がもらえますように・・・私は心の中で唱えた。

そして、専務の方に体を向き直し
「専務、本日の仕事はお食事に出られるまでの時間にここまでお願いいたします。万が一、残った場合は-----。」
私が目を見開いて伝えたので、十分に伝わったでしょう。












お読みいただきありがとうございます。



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