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in 夜更けには別の顔 (完)

夜更けには別の顔 21

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なんでこのガキ達はフツーに寝ることができねーんだ?
歯磨きも姉ちゃんと牧野に手伝ってもらい、寝るのも牧野と一緒だと大騒ぎになる。


俺と牧野、そしてガキ共は隣の部屋のゲストルームに移動した。
そして、俺と牧野は両端に、俺と牧野の間にこいつら2人。
めんどくせーから俺の隣に誰が、牧野の隣に誰がっつー説明はしねぇ。
どっちにしても、よく似てんだから一緒だろ?

そして、やっと今日のガキ共の為の最終ミッションの絵本読みが始まった。
やっとだ。やっと、ここまできたっ。
この金太郎になるまでも長かった。




電車の本を希望したこいつらだったが、
「読むところが少ないけどいいかな?」
牧野が言い出すとババアがガキに作った絵本部屋に移動した。

双子があーだ、こーだって言いながら読んでもらう絵本を選んでいる間に牧野までが絵本を読みだした。
牧野が「これ、可愛い」って言って読みだしたパンダの絵本。
俺も横でさっと目を通すとパンダの親子が銭湯(!?ってなんだ。温泉か?)に行く話だった。

その次に、牧野がくすくす笑いながら読みだした絵本は、歯医者がワニの虫歯を治す絵本。
歯医者とワニが同じように怖がったりドキドキする絵本だ。

絵本も楽しそうに読むんだな。
2人きりじゃねーけど、あのクソガキ達もいる空間だけど、牧野がいるっつーのが嬉しくて仕方ない。

俺が、真剣な顔で絵本読んでいる牧野を見て幸せに浸っていると
「つかさにいちゃん、かおだらしないよ。」
「うん。ほうかいぎみ。」

クソガキ共の声が聞こえる。
マジでな、一度ガツンとしめてーよな。このクソガキ共。

牧野さえこの場にいなかったら、思いっきり蹴飛ばせるのにっつー思いをなんとか押し殺した。
こいつら2人が、散々時間をかけて選んだ絵本は《金太郎》だった。





牧野がガキ達のリクエストの金太郎をガキ達が見やすいように開けた。
「さがみのくにってどこ?」
「あしがら山っていまもある?」
読みだすと同時に、こいつらの質問。

「つふしちゃん、まさかりってなに?」
「どうやって、どうぶつとすもうしたの?」

「金たろうがいたなら、ぎんたろうはいたの?」
「ぼくたちみたいに、ふたごだったのかな?」
黙って聞けよ。
疑問に思うな!
ガキはさっさと寝ろっ!!

牧野が読むと、ガキ達の質問にいちいち丁寧に答えてっから時間がいくらあっても足りねぇ。
俺と牧野の時間はどーなるんだよっ。
俺の人生初の告白で恋愛なんだぞ!!

双子にイライラしまくって、俺の我慢が爆発する寸前、
「俺が読む。本を貸せっ。」
牧野から本を奪った俺は

「昔、日本のどこかに金太郎っつーガキがいた。こいつが悪い鬼退治をして幸せに暮らした。終わり。」
絵本の一番最初の数行と、一番最後の数行をガキ達に読んだ。

ポカンとしてる双子に
「おい、叶、望、早く寝ろ。わかったな!」
凄んで言うと、さすがの二人も夜遅くなりだしたってのもあってか寝だした。

でも、姉ちゃんの
「大人が近くで一緒にいるってのが安心するのよ。絵本読んでくれたら、寝たふりだけでいいから、5分くらいは一緒にいてあげて。でないと、気配でバレてしまうのよ。」
っつーのがあって、俺と牧野もしばらくガキ達と横になったんだ-------。









ベッドの中で、牧野のやわらかい頬をさわる。
スゲーやわらけぇ。こんなにフワフワしてんのか。
すげー小さいよな。守ってやりてぇって思うよな。

俺の胸にすり寄ってきた牧野にそっと腕を回す。
-----!!
なんだ?

かたくねぇか?
あきらと総二郎の言葉を思い出す。
「女の体は良いぞ。スゲーやわらかくってスベスベしてる。」

確かに、俺よりはやわらかい。スベスベもしてる。
あいつらが絶賛していた、そのやわらかさとは違うような・・・。

そして、今日、雪の店で牧野を腕の中に閉じ込めた時と違う香りじゃね?
なんの匂いだ?少しだけ男臭いんじゃね?

あきらと総二郎の言葉を再び思い出す。
「女の匂いは良いぞ。シャンプーや香水とは別の女独特の甘い匂いだ。」
臭くはねーけど。甘い匂いは無い。

しかも、サラサラの髪の毛だったよな。牧野の髪って。
サラサラだけどよ。
短くねーか?

しかも、小さすぎねーか?
って!!!!!
暗闇の中、目を凝らし見てみると-----。
あ"?
おいっ!!
何で俺がクソガキと寝てんだよっ!!

クソっ。そうだった。
こいつらを寝かしつけてんのに、俺が寝てどーすんだよっ。
せっかく俺のショートカット絵本読みが成功したっつーのに、肝心の牧野からの返事が聞けてねーって。

どのくらい、寝てしまったんだ?
今は何時なんだよ?牧野っ!




このベッドの反対側で小さくなって寝てる牧野を見つけた時-----。
俺がどれだけ安心したと思ってんだ?

なぁ、俺。告白したんだぞ。
返事くれよ。

そんな俺の思いなんて気付きもしねーで、スヤスヤ寝ている牧野の頬を撫でる。
スゲー。
やわらけー。
スベスベでプニプニしてる。

あいつらが言ってた言葉の通りなんだな。
この柔らかいのが全身ってことなんだろ。

思わず、牧野の胸や太ももに目がいく。
頬以上の柔らかさなのか?
ごくん。思わず喉が鳴る。

起こす?
が、今週の仕事と今日の衝撃(雪が西田なんだからな。)
牧野を静かに横に抱き、俺の部屋へ移動した。






俺の部屋の寝室のベッドに牧野を静かに寝かせる。
思わず、俺もベッドに入り牧野を抱きしめて寝たいっつー思いに強く支配される。

牧野は部下っつーのに縛られる俺。
同時に、返事さえ聞いていたら、一緒に寝られたんじゃねーのって思いも過る。

「次は俺も、隣で寝るからな。」
祈りも込めて小さく呟く。
俺は、深呼吸をしソファーへ移動した。











お読みいただきありがとうございます。
つくしちゃんの読んでいた絵本は私の好きな絵本です。


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